「うちのケアマネ、姑の味方ばかり?」と悩んだ過去。元ケアマネの私が体験した、相性の壁を壊す「エレベーターの奇跡」

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① はじめに:家族の「気のせいかな?」というモヤモヤ、一人で抱えていませんか?

突然の病気や入院は、人生の中で誰もがとても驚かされるものです。
ですが、それ以外にも「以前はできていたことが、最近なんだかできていないな……」「普段はちゃんと話せているのに、突然不思議な行動をすることがある気がする。でも、気のせいかな?」なんて、日々の生活の中でモヤモヤ〜っと気になってくることもあるかと思います。

「いやいや、やっぱり私の気のせいかな!」と思いたくなることもあるかと思います。

あきらかな危機を感じれば、早々に「さあどうしよう」と動かれる方が多いかと思います。最近はネットにも情報が多いので、早めに対応される方も多いのかもしれませんね。

はたまた、ご本人さまがいち早く不調を察知して自ら連絡をとられる場合。
家族に説得されて「分かったよ」と納得される場合。
あるいは、「いや、私はまだ大丈夫なのに何をするんだ!」と頑なに拒否される場合……。
本当に、いろいろなケースがあるかと思います。

正直、どのケースであっても、ご本人さまもご家族さまも、初めてのことで胸がいっぱいになられる状況ではないでしょうか。
私はその光景を想像しただけで、今でも胸がぎゅっと苦しくなります。

最近では高齢者の孤立化を防ぐために、地域のいろいろな「集まる場」が推奨されていますよね。
ジムのような場所、体操グループ、ボランティア活動、歌やお稽古、地域の清掃活動……。
お話を聞いていると、本当にびっくりしてしまうほど多彩な活動があり、それをみなさん進んでやってらっしゃるので、私は本当に頭が下がる思いです。
(私は正直、老後は楽をしたいと思ってしまうタイプなので、自分の老後は完全に家に引きこもるんじゃないかと想像しています・笑)

そうやって地域で集まる場があることで、お互いに刺激になり、認知症の予防に繋がったり、小さな変化に気づき合えたりすることもできます。グループの中に福祉のプロなどがいる場合は、より早くサインをキャッチしてくれるのかな?なんて期待もしてしまいます。

かといって、みなさんがそういった賑やかな場を好むわけでもありません。
そんな場所には一切行かず、毎日静かに家で新聞ばかり読んでいるのに、驚くほど頭がクリアなお父さまを持っている友人もいたりして、「こうしなきゃ絶対にダメだ!」なんてことは、一概には言えなかったりします。本当に、正解があったら私だって知りたいくらいです(笑)

さて、少しお話が脱線してしまいましたが、そんな風に「気のせいかな?」と困ったときに、まず一番最初に繋がれる安心の相談場所が「地域包括支援センター」です。

※見つけ方は簡単です。
スマホやパソコンで「(利用される方の)お住まいの市区町村名 + 地域包括支援センター」で検索してみてください。よく分からなければ、役所の高齢者福祉の担当窓口にお問い合わせいただくと、すぐに教えてもらえるかと思います。

「地域包括支援センター」とは、各市町村に設置された高齢者のための総合相談窓口(よろず相談所)です。
介護・医療・福祉のあらゆる相談を、いつでも無料で受け付けています。

中には、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといったその道のプロたちが配置されており、介護保険の申請手続きの案内から、利用できるサービスの提案、そしてケアマネジャーの紹介まで、まとめて対応してもらえます。

まずはここで気になることをそのままご相談されると、心配なことも含めて、「今後の全体の流れ」についておよその見通しを立てることができるので、とっても安心できますよ。


 ② さあ、ようやく認定調査だ!となる頃に頭を悩まされる「あれれ?」問題

地域包括支援センターに相談して、さあ、ようやく「認定調査(役所の人が本人の状態を調べに来る日)」だ!となる頃、多くのご家族が頭を悩まされることがあります。

現場でも、ご家族からこんな心配の声を本当によく耳にしました。

「うちの親、もの凄く頑固なんです。他人が家に来て色々聞くなんて言ったら、怒り出しちゃうかも……」

「あれれ? 普段はベッドから起き上がるのも大変なのに、調査員さんが来たら急にてきぱき動けちゃっているのはなぜ!?」

「おや? いつもはちぐはぐな返事ばかりなのに、調査の時だけすごくまともなやりとりが出来ている……!」

そうなんです。認定調査の時には、ご本人がいつも以上に「張り切ってシャキッとしてしまう」という不思議な「あれれ?」が、本当によく起こるのです。

そんな「あれれ?」の対策として、私たちはどうしたらよいのでしょうか?

調査の時に、ご家族から「いつもの本当の様子」をその場で口頭で伝えるのももちろん良いのですが、ご本人を目の前にして「普段は全然できません!」と言うのは、プライドを傷つけてしまったりして角が立つこともありますよね。

そんな心配がある時にぜひやってみてほしい最高の裏技が、事前に「いつもの様子」をメモ書きにして用意しておくことです。

メモ書きと言っても、一体どんなことを書いたらよいのでしょうか?
役所の調査員さんが読んだときに、「なるほど、本当の状況はこうなんだな」と深く納得できる、大まかに書いておけるとよい内容をリストにしてみました。

📋 調査員さんに「そっと手渡す」お守りメモのチェックリスト

 〇 普段の生活エピソードメモ
・1日の大まかな流れ(トイレ、着替え、食事、お風呂、睡眠などの様子)
・家族目線から見た困りごとと、それがどれくらいの「頻度」であるか
・ 本人は「できる!」と言いそうだけど、実際は難しいこと
  (例:本人は「トイレはいつも1人で問題なくやっています!」と言いそうだが、実際は失禁があり、紙パンツを上まで上げる動作が1人では難しく介助が必要、など)
・ 家族が対応に困っている問題行動

〇 医療に関するリスト
・お薬手帳、または現在飲んでいる服薬のリスト
・主治医の連絡先、直近の診断書など(事前に必要かどうか包括支援センターに確認しておくとスムーズです)

 〇 環境や介護の状況
・家族内での介護の分担状況(誰が主に面倒を見ているか)
・ 住宅内の「生活動線」がわかるもの
  (家の中の段差の場所、手すりの位置、ベッドからトイレや浴室までの距離など)

⚠️ メモ書きに「必須」で入れてほしい重要項目(具体的な数字を添えて)
・ 夜間の状況(不眠がある、夜間の徘徊、大きな声出しなど)
・転倒、転落の頻度(どれくらいの頻度で、どんな背景で転んだか)
・認知症の症状(物忘れの具体的なエピソードなど)
・排せつの失敗とその「あと始末」について(家族がどれくらい片付けを手伝っているか)
・ 介護への抵抗や、ご本人からの暴言・暴力の有無
・ もしすでに福祉用具(杖や歩行器など)を使っていたら、どんなものか

これらの内容をあらかじめノートや紙に書いておき、認定調査の当日、ご本人の目に入らないように「調査員さんにそっと手渡す」のです。

事前に郵送したり、調査が終わったあとにこっそり渡しても大丈夫です。
これがあるだけで、調査に来てくれた方も「なるほど、普段のリアルな暮らしはこうなんだな」と背景をしっかり汲み取りながら、ご本人に無理のない適切な介護度を考えてくださるようになりますよ。

 ③ 「あのケアマネ、私の悪口言ってる…?」大嫌いだった最初の印象

ここで、私の若かりし頃の苦い昔話をひとつ。

かつて私のお姑さんは、要介護で寝たきりの状態でした。
頭はとってもクリアでしっかりされた方で、昔は管理職もバリバリこなされていたような、絵に描いたようなキャリアウーマンだったのです。

そんなしっかりとしたお姑さんだったからこそ、動きたいのに動けない自分の身体の不自由さへの苛立ちが、もの凄く強かったのだと思います。
そして、そこへ嫁いできたのは、おっとりとしたマイペースな私(笑)
お姑さんから見れば、私のやることなすことが、きっと本当に歯がゆくて仕方がなかったのでしょうね。

お姑さんは、家にやってくるヘルパーさんに、私の愚痴をよくこぼしていました。
当然、狭い家の中ですからそれらは私にも筒抜けで、「お義母さん、今日こんな話をされていましたよ……」と別の方から報告を受けるたびに、当時の私はズーーーンと激しくへこんでいました。

お姑さんの立場に共感して一緒になって話を聞くヘルパーさんがいたことで、お姑さんの不満は当時、どんどんエスカレートしていってしまいました。嫁の立場としては、不満が爆発することも多く、本当に大変な時期を過ごしていました。

そんなある日、よりによって当時お姑さんと一番一緒になって私の愚痴を言い合っていたそのヘルパーさんが、ある時ケアマネジャーに昇進し、そのままお姑さんの担当ケアマネになったのです。

若かった私は、自分のプライドもあったのか、「うそでしょ……信じられない!」という猛烈な苛立ちと悲しみでいっぱいになりました。
毎月の話し合いや連絡のやり取りも、毎回もの凄くどんよりと気落ちしながら対応していました。

ある日、お姑さんから手厳しい一言をチクリと言われました。
「あのケアマネさんもね、『あなたのこと、嫁として本当に困るわねぇ』って話していたわよ。やっぱり、誰が見てもそうなのよね」

私は「あはは、そうなんですねぇ……」と顔ではさらっと流しつつ、心の中はずたずたに傷ついていました。
そのあとも、「あのケアマネさんも、嫁姑問題で苦労してきた人なんだって。だから私の気持ちがよく分かるのよ」というプチ嫌味を何度も聞きながら過ごす毎日。

顔は引きつった笑顔を作っていても、心はズキズキと痛み、夜中には一人でしくしくと泣いていました。
今の私なら、あの時のボロボロだった私に向かって「本当にしんどかったね、よく耐えてるよ」と頭をヨシヨシしてあげたい気持ちですが、当時の私は余裕なんてマイナス100%。もう、呼吸困難になりそうなくらい、毎日が息苦しかったのを覚えています。

自分の存在をすべて否定されているような感覚。
何をやっても空回りして、心が全く満たされない日々。

介護の仕事をしていた時は、ルールに則って「仕事」として綺麗に割り切れていたことも、24時間365日、どこにも逃げ道のない在宅介護は、想像をはるかに超えて気持ちの逃げ場がありませんでした。若く幼かった私にとっては、本当に本当につらいことだったのです。

自宅にいても携帯が鳴り、携帯に出られなければ家の電話が鳴る。
私が居留守を使おうものなら、お散歩タイムのヘルパーさんとお姑さんが突然訪問してきて、外から大きな声で「〇〇さーーん!」と名前を呼ばれる始末(手厚いといえば手厚いのですが、当時の私には恐怖でした・笑)

近所で同じヘルパー事業所を使っているところがあると情報も筒抜けで、ご近所さんから「大変ねぇ……」と同情の声掛けをもらうこともあり、「もしかして、私の普段の行動も全部どこかで言われているんじゃ……」と、毎日疑心暗鬼になってドキドキしていました。

(※これは一昔前の、のどかな田舎の現場だったからこそのお話です。今は個人情報を徹底的に守って働くことが法律で厳しく義務づけられていますので、現在サービスをご利用されている方は基本的には心配無用かと思います)

本当に、当時の私はしんどさの限界を迎えていました。


④ エレベーターで2人きり。見える角度が変わった瞬間の気づき

そんなこんなで、当時の私の中で「あのケアマネジャーさん」は、完全に『敵』として認識されていました(若くて未熟だったとはいえ、本当にひどい当時の私、ごめんなさいケアマネさん)

そんなある日のことです。
お姑さんの部屋を出て、重い足取りで帰ろうとしたとき、そのケアマネさんが小走りでやってきて、私と同じエレベーターにすべり込んできました。

狭い密室の中で2人きり。
私は「うわぁ……気まずいな。話すことなんて何もないよ……」と内心で激しく焦りつつも、そこは必死で大人の引きつった笑顔を作り、
「いつもお世話になります。何か御用があれば、またいつでもご連絡くださいね」
と、うわべのご挨拶をしました。

すると、そのケアマネさんは私をじっと見つめ、淡々とした口調でこう話し始めたのです。

「えみさんさ、本当の大変だよね? 実はヘルパーのみんなも、あなたのこと、もの凄く心配しているんだよ」

私は頭の中が「???」状態で、ぽかんと聞き入ってしまいました。お姑さんと一緒になって私の悪口を言っていたはずの人が、一体何を言っているんだろう、と。

「どこの家庭でもって言ったらなんだけどさ、お嫁さんという立場は本当に大変だから」
「お義母さんに言われた通りに、ぜんぶ真に受けてやる必要なんてないからね。逃げていいんだよ」
「今はね、お嫁さんがすべてを背負わなきゃいけないなんて時代じゃないから。色々チクリと言われたりするかもしれないけれど、全部に対応しなくていいと私は思うよ」

エレベーターが動く短い時間の中で、その人はお姑さんの前で見せる態度とは全く違う、優しくて強いトーンで私を真っ直ぐに庇(かば)ってくれたのです。

「でも、やっぱり夫も仕事が忙しいので、私がやらなきゃ……」と、私が絞り出すように言うと、
「困ったときは、いつでも私に連絡してきていいからね」
と、一枚の名刺を私の手にそっと持たせてくれました。

実は、最初にお会いしたときにも名刺はいただいていました。でも、私個人のことでお電話をするなんて迷惑かもしれない、と頑なに連絡することはありませんでした。

そのエレベーターの出来事の後も、私自身のことでお電話をかける勇気はやはりありませんでしたが、お姑さんの用件で私から電話をかけると、そのケアマネさんは必ず、最後にこう声をかけてくださるようになったのです。

「で、最近えみさん自身はどう? 大変じゃない? ちゃんと眠れてる?」

当時の私は、あまりにも辛すぎて、逆に素直に「助けて」と言えませんでした。いつも「大丈夫です」と強がってしまっていましたが、でも、**その一言をかけてもらえるだけで、どれほど心が救われ、独りじゃないと思えたか分かりません。**

お姑さんの前では、本人のプライドを傷つけないために「そうだよね」と話を合わせ、裏ではボロボロの私を必死に救おうとしてくれていたプロの姿。人って、自分から見える一面(角度)だけでは、本当の姿は分からないものなんだなと、大切な体感として学びました。

今、目の前の介護が辛くて、周囲の人がみんな敵に見えてしまっているあなたへ。
もし、関わってくれているケアマネさんやヘルパーさんから、「最近どう? 大変じゃない?」と声をかけられたら……。

当時の私のことは、思いきり棚に上げさせてください(笑)
どうか、「実は、今もの凄く大変なんです」「はい、本当に辛いです」って、その差し伸べられた手に甘えて、お返事をしてみてほしいなと思います。

 ⑤ 最後に:知ることで、あなたの「お守りの引き出し」を増やしてほしい

たまたま私自身の「エレベーターでの不思議な体験」をお話しさせていただきましたが、実は私のお姑さんは、途中でケアマネジャーさんが6回ほど変わりました。

それぞれ本当に色々なタイプの方がいらっしゃいました。
まずは「本人(お姑さん)との相性」がありますし、私自身もそれぞれのケアマネさんに対して、毎回色々な印象を持っていました。

その中で私が深く感じたのは、当時はどうしても「目の前に見えている相手の態度」しか見えなかった、ということです。

ケアマネジャーも、一人の人間です。
どれだけ専門性を学び、資格を持っていたとしても、言葉の表現や態度がどうしても合わなくて、「なによ、この人……」となってしまうことだって、当然あります(本来は、どんなご家族にでもオールマイティに真摯に対応できるケアマネが、私の理想であり大好きな姿ですけれどね)

そして、私たち家族は「介護だけ」をしていれば良いわけではありません。
他にも自分自身の生活があり、仕事があり、守るべき大切な家族がいて、毎日を必死に生きています。
そんな、心も体もお疲れモードで「心のキャパ(余裕)がまったくない状態の色眼鏡」で見たときに、専門家たちがどう映るかって、本当にその時々でさまざまなんです。

私自身、当事者時代はどうしても苦手だなと感じる人もいれば、すごく感じが良いなと思う人もいました。考え方も人それぞれです。

だからこそ、もし担当のケアマネさんと「どうしても合わないな……」と思ったら、『担当者を変更してもらうことも可能である』ということを、ぜひ知識の視野に入れておいてほしいなと思います。

そして④でもお話ししたように、自分が困った時は「困った」、辛い時は「つらい」と、どうか声に出して言ってみてください。
「私みたいな状況の他のご家族は、一体どうされているんですか?」と、プロの知えを借りるように聞いてみるのも良い方法です。

私の昔話で恐縮ですが、当時の私の地域では、まだ「介護」と「子育て」が同時に重なる『ダブルケア』の方がほとんどいませんでした。
当時の私の年齢(若さ)で高齢者の介護相談に来る人なんて誰もいなかったそうで、地域の集まりはあれど、「あなたとは年齢が違いすぎるから、おすすめできない」と窓口で言われてしまったのです。

でも、当時の私はこう思いました。
「いや、周りと年代が違っていても全然いいから、私はその集いに行って情報を聞いてみたい!」と。

ここで私がみなさんにお伝えしたいのは、「情報を知る」ということは、それだけで本当にもの凄く大事なことなんだ、ということです。

知った上でどうするかは、今すぐじゃなくても構いません。本当に困ったときに、その引き出しを開けて繋がれればそれでいいのです。
何も知らないままだと、いざという時に「0からのスタート」になってしまい、余計にパニックになってしまいますからね。

ぜひ、地域包括支援センターなどで色々なことを聞いてみてください。
その時はピンと来なくても、あとから「あ、あの時の話だ!」と必要になる時が必ず来ます。

どうか一人で抱え込まず、あなたの心を守るための「安心の引き出し」を、少しずつ増やしていってくださいね。私はいつでも、ここからあなたを応援しています。

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