① はじめに:「行きたくない!」と言われて、ドキッとしたあなたへ
「デイサービスに行きたくない」
「支援になんて繋がりたくない」
そんな風に本人から言われて、ドキッとしたり、それ以上勧めることができずに諦めてしまうご家族がいらっしゃるお話を、現場でもよく耳にしました。
実は、かつての私の義母もそうでした。そんな理由でデイサービスには行かずに、在宅でずっと過ごしていたのです。
当時の私は、「本人が行きたくないのに、無理やり行かせるだなんて……」と思っていました。
これって、なぜだったんだろう?と今になって振り返ると、私の場合はお義母さんへの強い「共感」と、自分の中の「罪悪感」からだったのだなと感じます。
今日は、そんな「デイサービスに行きたくない!」(支援に繋がりたくない!)と言われて困ってしまっている方へ。
「これからどうしたらいいの?」という不安に向けて、私のリアルな体験談をお伝えしたいと思います。
② 「本人が嫌がるから諦める」はよくない?
「本人の意思がはっきりしているのに、無理に連れていこうとすることはできません。」
はい。まず、そんな風に「相手の意思を尊重しよう」と思って、一生懸命に対応されているあなたの姿勢はとても素晴らしいことだと思います。
このように考えたからといって「支援に繋がれなかった」と、自分を責める必要なんて1ミリもありません。まずはご自身に拍手です!パチパチ〜👏
介護は「この1週間を乗り切れば終わる!」という短期決戦ではありません。
これから先も続いていく、長い長い人生の寄り添いです。
だからこそ、あなたが無理をしてしまうと、あなた自身が倒れてしまいます。最悪の場合、お互いが潰れてしまう「共倒れ」なんてことも……決して他人事ではないのです。
本人の気持ちを尊重すること。でも、「支援を諦めない方法」も、きちんと候補にいれて一緒に考えてみましょう。
支援の現場で働くスタッフは、その道のプロです。
諦めずにプロの力を賢く頼ることで、あなたの大事な時間を守り、自分を犠牲にせず生きていくことができたら、と私は考えます。
それこそが、大切な家族とお互いが笑顔で過ごすための「生き残る大作戦」なのです。
③ ケアマネの私が今だから言える、デイサービスへ行くための「大作戦」とは
そもそも、お義母さんやお父さんは、なぜ「行くのが嫌」なのでしょうか?
理由をお話ししてくれる場合と、そうではない場合があるかと思いますが、もし可能なら優しく聞いてみるのもよいかもしれません。
「嫌」の裏側には、本人なりのプライドや明確な理由が隠れていることもあるからです。
かつての私の義母の場合は、こんな理由でした。
「年寄りが集まるような場所には行きたくない」
「若者に小ばかにされるような、子どもっぽい口をきかれるのが嫌」
「くだらない作業(折り紙やレクリエーションなど)をさせられると思うとうんざりする」
……などなど、挙げればキリがありませんでしたが、ざっとこんな感じでした。
若かった当時の私は、その言葉を聞いて「うんうん」と深く共感してしまったのです。
「そうだよね。こんなにしっかりしているお義母さんだもの、スタッフさんに子ども扱いで話しかけられたりしたら不愉快だよね……」
「わかるわかる、リハビリと称してなんだかよく分からない作業をさせられるのが嫌なんだよね」と。
認知レベルがしっかりとした、昔気質のプライドがある義母だったからなのですが、その話を聞いた私は
「私がその意思を尊重しなければ!私だからこそ分かってあげなくては!」と、謎の使命感に燃えて、1人で在宅介護をがんばってしまっていたのです。
でも、ケアマネジャーや福祉の現場を経験した今の視点から見ますと……。
そんな本人の気持ちを十分に理解した上で、「視点を変えたプロの関わり」という作戦が使えることが分かります。
※実は、デイサービスに通い始めた利用者様から直接、「本当は行きたくなかったのに、勧められて来たのよ(笑)」と笑顔でお話しされるケースもわりと多かったのです。(今回は、利用者様とご家族様から「必要なときにはこのお話を使っていいよ」と温かい了解をいただいた上で書かせていただいています)
私の働いていた現場では、本人の「行きたくない」という気持ちを否定せず、まずは徹底的にお話に寄り添いました。たとえば、私の義母のようなタイプの方の場合は、以下のようなアプローチをチームで組み立てていきました。
・「やりたくない活動」は無理にしなくてよい、「やれること」だけの参加でOK
・その活動をやることで、本人にとってどんなメリットがあるかを論理的に伝える
(例:「この作業は、実は日常生活でできるリハビリになります。手首の運動になり、これからも自分の力で大好きなご飯を食べ続けることに繋がりますよ」など)
・本人の好みに合う、大人の雰囲気のデイサービスを新しく探して提案する
(最近のデイサービスは昔と違って、カフェ風、カジノ風、リハビリ特化型など選択肢がたくさんあったりします)
・合わなければ事業所を変えられることも伝え、安心してもらう
(※注意:このアプローチはあくまで一例です。利用者さんの認知の状態により、アプローチ方法は大きく変わることもあります。その方がどうしたら安心して新しい環境にチャレンジできるかをみんなで考え、相談しながら声掛けを行うことが多いです。)
もちろん、お義母さんが想像している通りの「行きたくない雰囲気の場所」もあるかもしれません。
でも、どうか1回で諦めないでほしいのです。
そこの説得や、お義母さんの好みに合う場所探しなどは、自分一人で抱えるのではなく、支援のプロ(ケアマネジャーや相談員)を頼り、相談してみるとよいと思います。
寄り添うあなた(家族)の立場としては、お義母さんの前では無理に説得をできなくても大丈夫。
「そうだよね、行きたくないよね」と、お義母さんの気持ちに寄り添い、味方となってもいいのですよ。
④ 介護は20点、10点でいい。お互い生きていればはなまる💮
私は、「完璧な介護」というものはないのではないかな、と思っています。
どんな状況であったとしても、その方のことを想って行動されていること、それ自体がとても尊いことだと感じています。
「これは自分のためなのかな?」
「それとも、相手のためなのかな?」
「一体、どこのゴールに向かっていればいいんだろう……?」と、
本当に考えさせられることの連続ですよね。
毎日の生活の中で、誰かのお世話をする、手伝いをさせてもらうことは、本当に大変なことです。
それが仕事ではなく、距離の近しい関係(家族、義理の家族)であればなおのこと、感情も混ざり合って何倍もしんどくなる時もあるかもしれません。
それがもし、自分の生きがいであっても。
正しいこと、自分のすべきことだと感じていたとしても。
「本当は嫌だ、やりきれない。でも、やるしかないんだ……」と感じるときも。
自分の気持ちを奮い立たせてがんばってしまっているあなたも、
どうか一度立ち止まってみてください。
自分のこと、すり減らしていませんか?
傷つけて、苦しくなっていませんか?
がんばることも、現実に立ち向かうことも、大切な家族を介護することも、決して間違いではないのだと思います。それは誰にでもできることじゃなく、本当に素晴らしいことです。
でも、あなた自身の時間を作ること、あなた自身の人生を過ごすことも、同じくらい大事ではないでしょうか。
「今、私は何がしたいかな?」
「どんなことをしている時間が心地よいかな?」
ほんの少しでいいので、そんな風に自分自身に問いかけてみてください。もし何か思いついたら、自分のためにそれをやってみてくださいね。
⑤ 最後に:今日も1日、本当におつかれさまでした💮
今日もおつかれさまでした。
ゆっくりできる時間は作れそうですか?
介護に携わる人の立場によって、いろいろな考え方があるかと思います。
時には、事情を知らない「外野」が心ない言葉を言ってくることもあるかもしれません。
でも、なんでも一人で抱え込まなくて大丈夫です。
信頼できる家族、社会資源、そしてあなたの一番の味方になってくれるケアマネジャーに、「本人が嫌がって困っているんだ」と、その苦しい本音をそのまま伝えてみてください。
あなたの「大作戦」の会議が、優しく成功することを心から応援しています!
そして最後に、今日この記事を書いていて、私が一番強く感じたこと。
それは、「あなた自身が、あなたを一番に大事にしてほしい」ということです。
かつての私は、自分で自分をものすごく苦しめてしまって、自分のことを全く顧みることができませんでした。だからこそ、あの時のボロボロだった自分に向けて、
「もう頑張らなくて大丈夫だよ。お願いだから、自分を大事にすることに気付いて」って、今ならそっと寄り添って伝えたいです。
なかなか気づけないんですよね、自分のこと。
今、暗闇の中でがんばっているあなたへ。
今日も1日、お互いが無事に生きて目が覚めれば、それだけで「はなまる💮」です。
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💡 もうひとつお伝えしたいこと
今回は、デイサービスに行くための(プロの支援に繋がるための)お話をさせていただきましたが、「デイサービスに行かない」という選択が悪いというわけでは、決してありません。
その方の状況やご家族の思いによって、介護の支援には本当に幅広い形があります。
・デイサービスに行かず、ホームヘルパーさんに家に来てもらう支援を選ぶ場合
・本人の心のタイミングを見て、今は無理に使わず少し時期をずらす場合
……など、正解はひとつではありません。
本当に悩ましい問題だと思いますが、一番大切なのは、あなた一人きりで思い詰めないことです。
家族や支援のプロに話を聞いてもらい、「これからのこと」を一緒に相談できるのがベストかなと思います。
最初の一歩は、少し勇気がいることかもしれませんが、私はいつでもここからあなたを応援しています。
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